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京極夏彦さんの描く「仕事のできる男」

[私、夏川賀央は、ビジネス書作家です。
 ふつうビジネス書作家であれば、

「仕事に役立つ本」を紹介していくのが筋だろうとは思います。
 けれども、夏川は“逆転発想”をテーマとして、いままで本を書いてきました。
 だから私の書評では、仕事に役立つかどうかを別にして、

「思考の土台を根本的に変えるきっかけになりそうな本」を選んでいきます。
 いったいどんなものが集まるか……それはわかりません。
 ただ集めておけば、自分に役立つかも、ということで、

 きわめて個人的な読書ノートをつくっていきます]

そこで、今回紹介するのは、

『前巷説百物語』
(中央公論社)
という本。

推理小説作家であり、
「妖怪」を題材にして
作品を描くことでも知られる、
京極夏彦さんの時代物シリーズ。
ノベル版の最新作ですね。

時代物というからには、舞台は江戸。
「小股潜りの又市」
という人物が活躍します。

この「小股くぐり」
というのは、
「口先八丁で言いくるめられる人」
ということのようですが、
まあ、今で言う
「詐欺師」に近いんですかね。

けれども、この又市さん、
普通の詐欺師とは違います。
あらゆる問題を、
すべて「化け物」のせいにして、
コトをおさめてしまうわけです。

たとえるなら、そう、
夏川が締め切りになっても、
原稿が上がらない。
「なぜ?」
と問われると、
「ちょっと宇宙人に攫われまして」
ということにするわけです。

「なのウソでしょう?」
と思いきや、
恵比寿の事務所前には
巨大な円盤の着陸跡ができているし、
周辺の人も「光る物体を見た!」
なんてことを言っている。
そして私の腕には、
なんと正体不明の金属が埋め込まれていて、
取り出したお医者さんは、
「これは地球上の元素ではない!」
なんて言っている。

ならば、ひょっとして……と。

こんなふうに「小股くぐりの又市」は、
あらゆるスペシャリストを活用して、
「すべては化け物のせい」
という大がかりな仕掛けを
つくってしまうわけです。
その手腕たるや見事なもの。

けれども、
どうしてそんな面倒なことをするかといえば、
「犠牲者を出さない」とか、
「すべての人が遺恨を残さないように」
という、
彼なりに考えを尽くした結果です。
解決する問題は
人の生死にかかわる深刻な問題ばかりで、
決して怠けた作家のために働いたりなどしません。

その辺の、彼なりの「考え方」も、
ビジネスパーソンにとって
非常に参考になるものかもしれませんね。

とても面白い小説ですよ!

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